L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

自己紹介23。ご縁が紡ぐストーリー。

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パリからTGVで約2時間。Sa.Qua.Naのあるオンフルールまでやってきた。

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港町らしい活気の中、潮風に懐かしさを感じながらレストランへ向かう。

 

日本にいる時に1度、フランスに来てからもう1度CV(履歴書)やモチベーションレターのやり取りをしていた。その時の返事はNO。現状スタッフが満員だという事で断られていた。しかし、諦めることも出来ず一縷の望みにかけて足を運んだのだ。

 

自分で手に入れられる情報は全て目を通し、シェフの考えや人柄、料理などとても心惹かれ、フランスで働くならこの店しかないと思っていた。

 

しかし、その夢はあっけなく終わりを告げた。食事の後に話をすることもあまりできず、やはりスタッフが満員だということであっさりと断られた。そこに介入の余地がなかったことを僕は悟った。情熱だけではどうにもならず、僕はオンフルールを後にした。

 

フランス行きを決めてから、ずっとSa.Qua.Naで働く事だけを考えていた僕は途方に暮れた。正直他に当てなどなく、数日間は無駄に時間を過ごすことしかできなかった。それくらいショックが大きかったのだ。

 

フランスでも海の近くで生活したい。その事だけを頼りにレストランを探し、その候補に挙がったのは『LA MARINE』と『Mirazur』の2つだった。ただなんの当てもなく、どうしたら良いかわからなかった僕は、日本で出会った渋谷シェフの働く『Clandestino』へ気分転換に行くことに。

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1度しか会ったことのない僕の事を覚えてくれていた渋谷シェフは、食事の後に僕の話を聞いてくれた。一番働きたかったSa.Qua.Naで働けなかった事、仕事の当てがなく途方に暮れている事、働くなら海の近くが良く『LA MARINE』か『Mirazur』のふたつを候補にしている事。フランスに知り合いが少なかった僕は、藁にもすがる思いで相談した。

 

「Mirazurなら働いていたから紹介できるかもよ?」

 

渋谷シェフの言葉に耳を疑った。

 

「ただ、俺より長く働いていた女性がいるから、彼女に頼んだ方がいいと思う。連絡してあげるから行ってきなよ!」

 

昔からのお付き合いのお客様が紹介してくれたシェフが、自分の働きたいお店で働いていた。さらに、1度しか会ったことのない僕に親身になってお店と繋ごうとしてくれている。仕事が決まらず意気消沈していた僕に一条の光が見えた。

 

すぐさま教えてもらった女性のお店の予約を取り、次の日に伺った。

 

 

フランスで一番お世話になった『神崎千帆』さんとの出会いだ。

 

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