L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

料理を考える時。

f:id:koji-tamura0929:20180206162703j:image

常日頃から料理の事を考えている。意識をするというよりは、呼吸をするように当たり前に生活の一部になっていて、頭のどこかに存在している感覚だ。ふとした時に、日々考えていた点と点が線になり円になり形を作っていく。走っている時や早く目が覚めた布団の中で思い立つことが多い。

 

『料理をどのように考えますか?』

 

多くの人に聞かれる質問だが、僕は一つメインの食材を決めそこから派生する相性の良いものを考え(味わいや香り、テロワール)構成していく。なのでいきなりゴールが見えるわけでもなく、少しづつ輪を広げ高さと深さを作りながら立体的にバランスをとる。自分の中の方程式は、温度、濃度、旨味、風味、塩味、酸味、食感を上手く組み合わせること。当たり前に感じるかもしれないが、口の中でどうゆう順番で感じてもらい、どの様な美味しさを伝えるかを明確に考え、それを想い通りに構成するのはとても難しい。料理とは作って終わりではなく、食べ手がいて完成するものだからなおさらだ。どのように食べるかな?という想像が出来るかどうかはとても大きな差になってくる。

 

三角形のショートケーキを人がどう食べるのか。ほぼすべての人が先端から食べる。人の行動を予測して料理を作ると必然的に盛り付けは決まってくるのだ。ゲストが料理を口に運ぶまでが、美味しさをデザインする事だと僕は考えている。

 

『美味しい』へのアプローチは人それぞれ違うが、『どの様な状態を美味しく感じやすいか』はある程度体系的なものがあるので、それを知っているかいないかはとても重要になってくると思う。新しいこんな料理を作りたいというモチベーションも大切だが、どうゆう料理を作れば美味しく感じてもらえるかを考える事はもっと重要だ。

 

食べ手がいて完成するからこそ、この気持ちは忘れてはいけない。

 

今日も誰かの笑顔の為に料理を作ろう。