L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

福島を知る。

f:id:koji-tamura0929:20180220190205j:image2月の真冬の時期に福島へ視察に行くことに。福島は母方の実家という事もあり、特別な思い入れがある。専門学生の時に行って以来なので13、14年振りの訪問だ。前回は夏の福島だったので、冬の福島は何年振りなのだろう?僕は雪にテンションが上がるタイプではないのですが、久しぶりの銀世界はとても綺麗でした。

 

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今回は多くのシェフやバイヤーの方たちとのツアーで、福島全域を回らせていただきました。普段は少人数なので修学旅行のような不思議な感覚でしたが、色々な環境で働く人たちがそれぞれの感覚で話が出来るので、自分が普段持たない感覚の話を聞くと多くの気付きがありました。

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福島は大きく分けて三つの地域があります。

 

会津中通り浜通りです。県内でも天候や環境が違うので、同じ食材でも表情が変わります。それぞれの環境の中で適した食材を試行錯誤しながら作っている。

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福島というと、やはり原発事故の事が頭に浮かぶ人が多いと思います。7年たったいまでもその影響がないとは言えません。しかし生産者の方たちは本当に良いものを作る為に努力しています。様々な検査は勿論の事、福島を愛し自分たちに出来る事を続けているのです。

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今回福島に行くきっかけになった芦間さんはいわき出身です。今回ご一緒させていただくまで会ったことはありませんでしたが、周りの情熱的な方達からの紹介でお話させていただき、福島行きを決めました。初めて会った時の印象はありきたりですが、太陽のように笑顔の眩しい方でした。この熱量が多くの人を動かしたのだろうと感じます。

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雪の力で野菜を甘く美味しくする人がいれば、自然農法で乾燥した地域の特性を生かし旨味を濃くする人もいる。奥様の事がきっかけで農業を始め、シイタケで日本1位になった人、一晩中畑に火を焚き霜と闘いながら果物を作っている人、多くの伝統野菜を護り伝えようと尽力する人、耕作放棄地を開墾し希少な国産サフラン作りに挑戦している人。そして生産者と一緒に福島から発信し地産地消を盛り上げている料理人もいます。

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また僕と同世代の若い人が違う業界から農業に参入し、新しい発想で仕事をしています。そして皆が『誰かのためになるものを作ろう』と考えています。自分たちの作りたいものを作るのではなく、周りの意見を聞きより良いものを作るために努力をしている。新しい物作りにも積極的で、どんどん意見を聞いてくれました。

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今回僕達が福島に来たことで少しでも何かが動き出せばいいなと、そして動かしたいなと思いました。まだまだ僕の知らない可能性が福島には溢れてます。その可能性を沢山の方に知っていただきたい。行かなければ分からない熱量が福島にはありました。

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次回は5月の暖かくなる時期に伺います。喜多方のお祖母ちゃんにも会えるといいな。

 

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福島に限らず日本には僕等が気付いていないだけで、本当に多くの素晴らしいものがあります。食材や技術、伝統工芸、そして人も。

 

100年先の未来の為に、今しか出来ないことを。

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photo by Ryo ozawa