L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

生産者の想いを『料理という言語』で伝えていく。

f:id:koji-tamura0929:20180303183904j:imageフランスから帰国し、もうすぐ二年が経とうとしている。フランス在住時に言われた一言がきっかけで僕は地方を回り始めた。

 

栃木、神奈川、千葉、埼玉、長野、宮城、愛知、京都、高知、島根、福岡、鹿児島、宮崎、沖縄。今年は福島、石川、北海道に行くことが決まっている。他には佐賀、小豆島(香川)、喜界島(鹿児島)和歌山にも行きたいと思っている。

 

日本人なのに日本の事を分かっていない。自国の文化に興味がない。自分の国が好きじゃないの?これらの言葉を外国人に言われた時、はっとすると同時に恥ずかしくなった。フランス料理をやってきて、フランス料理の歴史は勉強していたが、醤油の作り方もまともに答えられなかった。当たり前すぎて気にもかけなかったのか、自分の国に興味がなかったのか。日本に生まれ育ち30年を生きている間、僕はただ日本にいるだけだったと気が付いた。

 

日本には本当に素晴らしいものが沢山ある。食材も調味料も伝統工芸も。ただその存在が知られていないものが多く、知っていたとしても無くなってしまう危険な状態だという事実を皆知らない。日本が誇る文化や伝統が刻一刻と絶滅へと向かっていることを。

 

僕が活動している『Chefs for the Blue』は、日本の水産資源を持続可能にするために、先ずは現状を知ってもらう活動をしている。うなぎやマグロの話は有名だが、それ以外にも日本の魚は危機的状況なのを伝えるために。当たり前に生活している中で常に身近にある魚は確実に変化している。自分たちの孫の世代はマグロを食べることが出来ないかもしれない。

 

魚だけではない。肉も野菜も果物も本当に良いものを作ろうとすると手間も時間もお金もかかる。そして人手も必要だ。今若い世代には農業がどのように映っているのだろう。次の世代の担い手はどのジャンルも多くはない。人手の問題はとても深刻で、日本の資源である食材を受け継ぐ人も育てなければいけない。

 

僕が料理を生業にしているからかもしれないが、食材という日本の価値を僕は真剣に守っていきたい。父の実家が農業をやっていることも影響を与えているだろう。もう農業に携わる人たちだけの問題ではなく、日本としてどう対策を立てていくかだと思う。時代の進化と共に農業も水産業ももっと進化できるはず。そのきっかけを生産者以外の人達も考えていけないだろうか?

 

日本が世界に誇る食材を、伝統を、文化を。

 

僕が料理人として出来る事でこの素晴らしい価値を守り、そして世界に発信していきたい。今はまだ微力かもしれないが、続けていくことでしか見えない世界があると信じている。