L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

自己紹介20。次の世代へ伝える事。

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フランスで働くという事は、フランス料理を学んでいる人間からすると、誰もが憧れる事ではないだろうか?

 

勿論僕もその1人だ。

 

22歳で初めてフランスへ旅行に行った時から、ずっと憧れていた。

 

僕が働いたシェフ達は皆、フランスやイタリアでの海外修行を経験している。初めて働いた下村シェフは7年もの間、ミシュラン三つ星や二つ星を渡り歩き、技術と経験を積み重ねられた方だ。

 

フランスへ行く直前。僕はまた下村シェフの下で働いている。

 

3ヶ月しか期間は無かったが、『お店に活力を与えて欲しい』との師からのオファーを、僕は二つ返事で受けさせて頂いた。

 

元々働いていたスタッフが、色々なお店を経てフランスへ行く。そんな姿を今いるスタッフ達に見せる事で、何かを感じてもらいたかったのだろうと今は思う。

 

22歳まで働いていたお店に30歳間近で再び働く。以前は新卒同様だったが、今回はスーシェフのような立場で、新卒を迎えている自分に、時の流れを感じずにはいられなかった。

 

初めて働くレストラン、先輩、シェフ。不安と期待が交錯し、日々がむしゃらに働くしか方法がなかった新卒時代。

 

そんな、いつかの自分を見ているような若者達を見ていると、彼らの料理人としての人生を決めるのは、もしかしたら自分かも知れないと思うようになった。

 

初めて働くレストランも、先輩もシェフも、自分で選べる事は少ない。

 

しかし、初めて働くレストランは、その後の人生を決めるくらい大切な存在だ。だからこそ、教える側は真摯に若者と向き合わなければならない。自分のとる一つ一つの行動が、彼らの基盤になりかねないのだから。

 

そんな風に思えたのも、『Edition Koji Shimomura』での2年間が、自分の料理人としての基礎を作った事を分かっているからだろう。

 

新卒当時、本当に生意気でワガママだった僕は、放し飼いの様に自分勝手に仕事をしていたと思う。自分が間違っている事に対しても、何も言わせない様なオーラを出していたとさえ感じる。

 

もしその時、僕に間違いを指摘してくれる人がいたら、もっと早く過ちに気付けていたかも知れない。

 

だからこそ、若者が間違った行動を取った時、僕はキチンと伝えられる様にしたいと常々思っている。

 

料理人としても、人としても。

 

3ヶ月の間に、自分の気持ちや考えを若者に少しでも伝える事が出来たのも、僕が再びEditionで働いた意味なのかなと思っている。

 

そして、下村シェフから多くの事を伝えて頂けたこの期間は、フランスでの働き方を考える重要な時間になった。