自己紹介9。若気の至り。次へのステップ。
フランスから帰国し、また怒涛の日々を過ごしていた。相変わらず怒られてばかりだったが、フランスという目標が出来、熱は更に高まる一方だった。
1年が経ち、何となくお店の流れや料理の事が分かってきた気がした頃から、僕は少し気が大きくなっていたのかもしれない。
先輩よりも動ける自信もあり、技術的にはまだまだだったが、負けているのは年齢のせいだと、同じ歳になる頃には俺の方が絶対に仕事が出来る!っと根拠なき自信の元、周りの人全てを敵にするかの如く、荒れながら仕事をしていたのを覚えている。
そんなある日事件は起きた。
僕の仕事に対して注意をしたシェフに、何を勘違いしたのか反抗をしてしまった。
今考えると、20歳近く歳の離れたグランシェフに、まだ若造だった僕が啖呵を切って反抗した事がどれだけ恐ろしい事か。
ただ当時はそんな事を考える余裕がないくらい追い込まれていたのかなと思う。
寝る間も惜しんで働き、毎日ギリギリだったのかもしれない。
それでも決して許される事ではなかった。
その時に誰かが止めるわけでも無く、シェフと言い合っていたのは、それだけ当時の僕が荒んでいて手がつけられなかったからかもしれない。全ては自分が蒔いた種だった。
その後勢いのまま辞める事をシェフに伝え、1ヶ月の引き継ぎの後店を出た。
初めて自分で選び働いたお店。後にも先にも下村シェフのお店だけだった。
この後僕は働く全てのお店を人のご縁で頂きます。
次の新たなステップへ。