L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

自己紹介22。二度目のフランス、期限一年間の戦いの始まり。

f:id:koji-tamura0929:20171004154438j:image

2015年7月1日、16時間の長旅を終えフランスの地に足を踏み入れた。8年前に初めて訪れた時より、空気も風のにおいも鮮明に感じられた。これから1年間をどう過ごすのか、期待と不安が混じった気持ちを忘れることはないだろう。

 

モスクワ経由で来た飛行機でスーツケースが来るのを待っていたが一向に来ない。

どうやら僕1人ではなく、5人の日本人がロストバゲージにあったようだ。空港に着いた瞬間のトラブル、係員に聞いても「どこにあるか分からない、着いたら知らせるから連絡先と送り先をかけ」と言われるだけで、それ以外は分からないまま。包丁や調理器具、替えの服まですべてを失い、僕はタクシーでこれから住む家へと向かった。

 

パリ5区にあるレストランSORA、その近くに家はある。RED35でもお世話になった吉武シェフに挨拶に行き、到着と現状を伝え、「荷物が見つかればSORAに届きますのでお願いします」と言いその日は終わった。

 

今となっては笑い話だが、当時は本当に笑えなかった。荷物が見つからなければ何しにフランスへ来たかも分からない。インターネットも使えない中でどうすることも出来ない気持ちの中眠りにつけたのは、長旅の疲労のお陰だろう。

 

次の日は朝から着替えと携帯を探しに街を散策し、あまりにも早口なフランス人の言葉についていけず心を折られたが、何とか手に入れることが出来、最低限の環境だけは整えた。1年間必死にやったフランス語でこれなら、勉強しなかったらどうなっていたのか。真面目に勉強した自分を少しだけ褒めた。

 

家に着くと荷物が届いたと連絡があり、やっとフランス生活が始まるんだなと少しだけ胸をなでおろし、穏やかな気持ちで眠りにつく。明日からはもう少しフランスを楽しめそうだ。

 

働き口はまだ決まっていない。ただ、どうしても働きたいお店はノルマンディーにある。

 f:id:koji-tamura0929:20171009162638j:image

『Sa.Qua.Na』というレストランだ。2週間後に予約をしているこのお店で働けるかどうかが分かるまでは、他のレストランを探す気にはならなかった。

 

海の近くで働きたい。その想いを胸にノルマンディーまで僕は行く。