L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

初めての賄い。

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料理人になる前に料理をしたことがなかった僕は、働き始めてからの賄がいつも憂鬱だった。2人前も作ったことがないのに10人前も作らなくてはいけない。ご飯を炊くだけで苦戦していた。店が忙しく仕込みにも追われ火口もない中で賄を作る。先輩やシェフのプレッシャーを感じながら。

 

一か月分の献立を考えたり、本を読んで勉強したりと努力はしたけれどすぐには美味しいものを作れませんでした。賄がまずいと言われコンビニ弁当を目の前で食べられたり、賄を捨てられることもありました。当時は美味しく作れない自分に腹が立ち、そして一ミリも優しくない環境にも心がすさんでました。

 

僕には反骨精神があり何とか乗り切り賄を作るのが好きになり、美味しいものを作れるようにもなりました。ただ、ここを乗り切れない人も沢山いると思います。今でこそ、そうゆう職場は少なくなったと思いますが、賄で悩んでいる人は多いと思います。

 

始めのうちは本のレシピ通りに作り、自分の中の引き出しを増やしましょう。いきなり特別な料理は作れません。僕も初めは上沼恵美子さんの本を見て賄を作っていました。3年間くらいは褒められた記憶がありません(苦笑)

 

それでも地道に続ければ美味しい賄も、美味しい料理も作れるようになります。賄いがキッカケで、フランス時代には仕事を貰えました。大切な事は、食べてもらう人の事を考える事。自分が食べたいものも良いですが、シェフが好きなものや、皆が食べたいものを考え作る事もとても大切です。

 

シェフになる人は最初から何でもできると思われがちですが、僕は最初賄も美味しく作れませんでした。それでも続けることで道を切り開くことが出来たので、続けてきて良かったなと今は思います。

 

そしてこれからは、スタッフが続けやすい環境作りが一番の目標です。まだまだ労働環境が良いとは言えないレストラン業界で、若者が技術を身につけやすい環境を整え、自分が先輩から多くを学んだように、下の子たちに自分の技術や考え、そして経営的な視点を特に重要視して伝えていきたいと思います。

 

先ずは働きたいと思ってもらえる環境を。