L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

初めて作った料理は何?

シェフになり、始めて料理を作るとき何を作ったか。いきなりオリジナルの料理を作れる人はなかなかいないと思う。勿論僕もそうでした。初めは自分が働いた店の料理に似たものや、少しだけアレンジしたものがほとんど。僕が初めて作った料理は、一般的な野菜のブロッコリーを使ったものでした。

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分かる人は分かるのですが、僕にとってブロッコリーとは記憶に刻まれていて、とても大好きな食材です。そのブロッコリーにアサリの出汁とグレープフルーツ、パルメザンチーズとディルを合わせました。師匠のかの有名な魚料理の組み合わせを、ブロッコリーを主役に据えて再構成。ありふれた野菜から更なる魅力を引き出しレストランの料理へと。

 

この料理は香りの構成を初めて意識した料理で、ブロッコリーの青い香りに柑橘やハーブを合わせ、アサリとチーズで旨みの幅を広げています。ディルには柑橘系の香りがあるのでグレープフルーツとリンクします。パルメザンチーズと柑橘の愛称もとてもよく、ブロッコリーとパルメザンチーズの愛称は言うまでもなく。味わい香りの構成は三次元で、口の中では更に時間という概念が加わり四次元で変化していく。

 

自分の料理人人生で使う機会の多かった食材は、それだけ向き合い考える時間が長かったという事。そういう食材との出会いと時間を大切にしてほしい。単調な作業だとしても、その時間が自分らしい料理を生みだすきっかけになる事があるから。若い時に嫌だなと思ったことほど後になって何かが返ってくる。いつでも真摯に食材と向き合っていきたい。