L'odoriter 料理人の新しいプロダクト。田村浩二の挑戦。

シェフとして、人として。今感じていることを少しずつ綴っていければと思っています。

自己紹介28。ミラズールで出会った日本人。

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働き始めたころ、日本人は僕しかいなかった。むしろその環境の方が良かったのだけれど。

 

僕がミラズールでは出会った日本人は3人。

同い年の石崎優磨(9STORIESシェフ)と河本英樹(ホテルグランヴィア京都)、そして一番長く働いたテラさんこと寺田篤史(リーガロイヤルホテル)さんだ。

 

優磨は、パリのL'auberge de 15で働いていたが、バカンスを使って少しの間働きに来ていた。初めてフランスで一緒に働いた日本人で同い年。ミラズールの後もパリで会ったり、帰国してからも何度か連絡を取り合っている。

 

優磨が来た頃は僕もまだ慣れておらず、お互いにいっぱいいっぱいの中働いていた。二人とも後から来た日本人という扱いで、雑用ばかりをやらされ他のスタッフと喧嘩をした事が懐かしい(喧嘩をしたのは勿論僕です)

 

もう1人の同い年河本さんは一緒には働いていないが、他のスタッフが彼の事をとても慕っていたので、仕事が出来る人だったんだろう。

彼も帰国して、僕がシェフになってから遊びに来てくれた。

 

最期の一人、テラさんは一番長く共に働いた戦友です。歳は僕より上でしたが、謙虚で負けず嫌いなテラさんは、気を吐きながら働いていた。テラさんは英語があまり話せなかったが、気合で乗り切るテラさんはとても楽しそうだった。

 

僕も含めて途中から入ってきたスタッフは、雑用を回されることがとても多い。言葉が出来ないとなおさらだ。年齢も経験も分からないスタッフに中々仕事は回ってこない。如何にコミュニケーションがとれるかが大切だ。えてして『はい』と言ってしまいがちな日本人は、雑用や掃除をなんでも『はい』と引き受けてしまう。そうなると、やる必要もない掃除までやるはめになることもしばしば。圧倒的に仕事が出来る人は別だが、基本的にはある程度の語学力は必要だと僕は思う。

 

少なからず勉強していた僕は断ることもそうだが、他の日本人が掃除ばかりさせられそうなのをみると、文句を言って喧嘩をしていた。皆日本から10数時間かけて掃除をしに来ているわけではないのだから。

 

 

言葉でも技術でも、何かしら自信をもって戦える武器を持たなければ、海外では生き残っていけないだろう。ただ両方あれば、どこでも仕事はあるし、チャンスはいくらでもやってくる。

 

シーズンのピークが終わる頃、チャンスは僕に回ってきた。

 

温前菜の部門シェフが逃げてしまい、冷前菜のジョーが移ることに。

そして僕が冷前菜の部門シェフに上がることになった。シーズン頭から働いてるスタッフばかりだったので、ポストは空かないと思っていたのに。

 

何が起こるか分からないから人生は面白い。